雪の出羽路平鹿郡

文政七年(1824年)、(真澄71歳)秋田藩の事業として地誌が編纂されることとなりました。 
この時、藩から菅江真澄に対して銀100匁を平鹿郡調査費用として贈られています。 

同年十月に八沢木(大森町)の大友家に着き、ここを拠点として平鹿郡の調査に入り、文政九年(1826年)四月、真澄73歳で完成します。


真人山(真人公園)

真澄:真人山

=真澄記= 
真人山の「まと」は山の名、澤の名、村の名にも聞こえるが、この増田の真人山は、いにしえ七十三代堀河院の御代、清原武則の居城の跡と語られている。 

=AKomovie= 
清原真人武則は、前九年の役(1056年)の猛将です。 
詳しくは、「平鹿のみたか」も見てください。 

 

三鷹物語> <銭かけ桜

真人山



弁財天沼
<沼入り梵天>=真澄記= 
弁財天の沼がある。 
この沼は、永禄・天亀・天正(16世紀後半の頃)まではたいそう狭く、深い沼であったのを、新田開発のため天和(1681~84)の頃、郷士の佐々木氏が百二十間ばかりの堤を築いたものである。 
この池の蓮葉の大きさは三・四尺あまりである。遠江の国(静岡県)の「桜が池」の蓮葉は九尺、あるいは一丈余りなどのものがあると言われている。 
それに応じて華もまた大きいものであろう。 
天竺の祇園精舎の「仏池」の蓮葉の直径は九尺であることが、津村氏の書いた譚海(たんかい)に見える。 

三月十七日に弁天の神事が終わり、同十八日は沼祭りである。 
その沼祭りの日には、初婿、また新たに家を作った人、よそからこの村へ初めて住んだ人は、梵天という大幣(おおぬき)を持って、たいそう深いところへ突き立てるならわしである。

浅舞

真澄:浅舞

古八幡と浅舞平野

<浅舞の清水>=真澄記= 
<鍋子清水> 女が鍋を洗おうとしたら、その鍋が水底につーっと引き入れられて沈んだと言う。 


<加須井清水> 浅舞の南にあり、この清水は神明宮の御前であるので、「おいせしみづ」、「いせしみづ」などと言う人もいる。加水は堰(せき)の名とも水田の名とも言われる。 


真澄:市神の石

市神の石


<内記清水> 浅舞の西にある。昔内記某という浮浪人がこの清水を掘って、多くの田地を開き得たという物語がある。


<石神の石>=真澄記= 

六日町の街中に「市神の石」を据えて祀っている。 
この石はもと九寸ばかりの大きさの石であったが、丈夫(ますらお)などが手にとっているうちに、今はたいそう大きくなって、弄ぶことができなくなった。 
この石は天から降ったという由を言い伝えている。その音郷中にひびきわたって、すさまじかったそうだ。



今宿(雄物川町)

今宿の大柳

後三年の役に清原家衡が源義家を撃退した沼柵は、中世に小野寺氏の居城となりました。 
その後は真言宗蔵光院となっています。 
この蔵光院から150mぐらい南に大きな古枝の柳があります。この柳は今宿の市神様になっています。 

今宿の大柳



田村(大雄村)

=真澄記= 
この村薪乏しければ、根子といふもの掘りて、朝夕是を焚く 
=AKOmovie= 
これは泥炭だったのでしょう。 
民謡秋田音頭の句にも「うんがの父 田村の根っ子掘りだ うそだらつらみれ まっくろだ」とあるそうです。 
田村の根っ子



鶴が池
=真澄記= 
和田城沼とも言って、周辺に要害跡もある。 
昔、和田四郎なる城主がいた。 

=AKOmovie記= 
横手市から平和街道(湯田方面)を東に5Km、相野々(あいのの)に鶴が池公園があります。 
公園内の鶴が池神社跡がその要害の跡だと思われます。

真澄:鶴が池

鶴が池

鶴が池神社



いかだ郷(山内村)

真澄:いかだ郷の大杉

=真澄記= 
いかだ村の三十番神の前の畑の雪の上で、除夜の時、大松火の神事がある。 
麻がらを高く積み重ね、その形を筍のように大きく作り、十二に節目をつける。これを二本作り、上いかだ、下いかだになぞらえて火を付け、その燃え具合で一年の吉凶を占う 
また、去年この村に来た初婿が集まり、神前の前で雪を踏んで相撲が行われる。これもいかだの上下に分けて行い、この勝負で一年の吉凶を占う。

真澄:いかだ郷



旭岡神社(横手市)

真澄:旭岡神社七本杉

=真澄記= 
箒杉、祖父杉、お祓杉、燈套(とうがい)杉、この三本の中には宿り木がある。楢の木である。楢の木の高さは一丈ばかりある。 
天狗杉は神木である。神戸(みかくし)の杉と言う。うば杉もまた大樹である。 
長者伝説

真澄:旭岡神社天狗杉



大屋の梅(横手市)

真澄:大屋の梅

=真澄記= 
大屋郷大梅樹、この梅の木は鬼嵐村の彦右衛門の庭にある。 
木の高さ三丈45尺(約3.6m)、東西に11間(約20m)、南北は14間(約25m)。花はうす紅であり、満開になると白い。その実は小さくて、およそ3.4斗(63l)ほどと言われる。新町村が西の方に見える。

真澄:手枕沼